2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530057
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
伊東 研祐 Keio University, 法務研究科, 教授 (00107492)
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Keywords | 経済刑法 / 法益 / 法益概念史 / 競争法 / EU経済刑法 / Corpus Juris 2000 |
Research Abstract |
本研究は、代表者が単独で3年間で実施する図書資料・公刊情報を利用したものでる。本年度は第2年度であり、実施計画に従い、以下の3系列の研究活動を実施した。 1 1980年度中期以降の法益概念史研究を、第2系統の研究遂行過程で意見交換する専門家からの情報等と併せて、完成させると共に、論文化の準備を急いだが、不法実質論に由来するバイアスが概念規定努力を謂わば拡散させている一方で、危険(危殆化)犯論も概念規定を確定せぬままに展開するという状況が急激に拡大してきたことが確認され、解析すべき資料が質・量的に更に増大し、なお分析を終えていない。来年度以降も継続して行うことにしたい。 2 EU経済刑法の研究は、1)競争法の刑事化に伴うドイツ・スイス・イギリス等各国の理論学的議論の追跡と、2)Corpus Juris2000の研究・分析に基づく経済刑法の法益に関する考え方・保護手法の特性(長所・問題性)等の抽出とを試みてきたが、後者は、既に経済刑法関連の条約条項の実施段階に入った現在、それ自体として実施しても実効性が乏しく、謂わば前者の中に解消されているともいえるので、両者を統合して、主として執行/保護手法としての刑事法という観点から、研究活動を再構成した。ケンブリッジ大犯罪学研究所のヒルシュ教授、チューリッヒ大学のヴォーラース教授との意見交換も、この方向性を支持するものとなった。 3)上記2系列の研究の成果を我が国の実定制度・法に還元すること等を通じて理論学的な視座を再構築し、現実に我が国の競争刑法や資本市場刑法等の解釈適用論への提言を行う、という最終目標に向けた準備作業として、近時の独禁法改正議論・判例動向の再解析を開始した。来年度早々よりペーパーを公表する予定である。
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