2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530069
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田高 寛貴 Nagoya University, 大学院・法学研究科, 教授 (60286911)
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Keywords | 財団抵当 / 企業担保 / 工場抵当 / 包括担保 |
Research Abstract |
平成20年度は、第1に、前年度にすすめてきたドイツ、アメリカにおける財団抵当の法制度に関する調査・研究を引き続き行った。アメリカでは、実際にアメリカでは財団抵当はごく一般的に利用されているとのことであった。そこで、実際の財団抵当の利用実態を検討するべく、当初はアメリカで現地調査を行う予定であったが、諸般の事情から、アメリカでの調査にかえて、ドイツでの担保の利用実態に関する現地調査を実施した。ドイツでは、財団抵当の必要性については、必ずしも十分に意識されていなかった。ドイツでは裁判所で行われる不動産競売が非常にうまく機能しており、そのために、不動産担保たる抵当権が資金調達手段として中心的位置を占め続けていることが、財団抵当をそれほど必要とは感じさせないことの遠因となっているものと考えられる。担保制度の比較法研究をする上では、実行手続の運用状況などについてもあわせて検討すべきことが明らかとなった。 本年度に行った第2の研究は、わが国における財団抵当制度の解釈と利用実態の把握である。財団抵当制度の利用は、現在はそれほど多くなく、かつ、減少傾向にある。実際に財団抵当を利用している企業や、登記手続に精通している専門家(司法書士など)に、利用の実態や、利用する上での問題点について聞き取り調査を行い、実態の把握に努めた。この制度の必要性は共有されているが、手続が煩瑣であるためになかなか利用するまでには至っていない、という状況のようであった。 本年度は、さしあたり、財団抵当制度のあり方を検討するうえで前提とされるべき抵当権制度に関して、その侵害に対する法的保護の見地から考察をした研究成果を発表した。このこともふまえつつ、前年度にすすめてきた研究とあわせ、財団抵当制度のあるべき方向性について、今後、立法提案の形で提示するべく、引き続きとりまとめの作業をすすめているところである。なお、近年策定されたUNCITRAL担保立法ガイドも、財団抵当制度のあり方を議論する上で不可欠の素材を提供するものとなっており、新たにこれについても検討を加えたうえで、結論を得たいと考えている。
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