2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530075
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
岡 孝 Gakushuin University, 法学部, 教授 (10125081)
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Keywords | 役務提供契約 / 請負の瑕疵担保責任 / 委任の無理由告知 / 成年後見制度 / 法定後見 / 任意後見 / 東アジア比較民法 / 中国:韓国:台湾 |
Research Abstract |
今年度は、請負の瑕疵担保責任(とりわけ土地工作物の瑕疵の場合の解除の可能性)と委任の無理由告知についての東アジア各国の判例・単説を調査した。とりわけ、台湾民法の改正(解除権を明記)の理由がよりはっきり理解できたことは今回の調査の成果である。いずれ最終報告書で分析し、日本民法改正案作成の資料としたい。つぎに、売買でも同様の問題があるが、請負ではより一層切実な問題の1つとして、瑕疵ある物が給付された場合に注文者はまず修補請求をしなければならないのか(これはドイツの債務法現代化法の立場)、それとも報酬減額請求権と同列で、注文者の選択が可能と考えていいか(岡の見解)という問題がある。韓国、中国ではまだ問題意識はないようであるが、台湾では、孫森炎教授が岡の問題意識に呼応して研究し、昨年の講演会でこれは信義則に反するかどうかの問題で、信義則に反しない限り注文者の自由な選択に任すべきだと報告した。岡は、信義則の問題もあろうが、原則は注文者の選択に任すべきだという見解である。瑕疵ある物を請負人が製作した以上、注文者としては請負人の力量に対する信頼感を失うかもしれない。修補が果たして完全になされるかどうかも疑わしいだろう。こういうときには、注文者は報酬減額だけで従前の請負人と関係を絶ち、後は他の信頼できる業者に修補を依頼するという可能性が保障されるべきだと思う。来年度は、もう少し具体例を挙げつつ韓国、中国の研究者にもインタビューしてみたいと思っている。なお、台湾では目下成年後見制度の導入が予定されており、その概要(翻訳)も入手した。参考になる点もあるが、いくつか問題点もあり、それについてさらに質問をしようと思っている。今回は法定後見のみの改正だけを考えており、任意後見は時期尚早だとして見送ったと聞いている。どのような議論があったのか、来年度さらに調査を進めたいと思っている。
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