2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530075
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
岡 孝 Gakushuin University, 法学部, 教授 (10125081)
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Keywords | 役務提供契約 / 委任契約 / 成年後見制度 / 法定後見 / 任意後見 / 東アジア比較民法 / 台湾:韓国:中国 / 日本民法改正 |
Research Abstract |
(1) 今年度はまず、ヨーロッパにおける役務提供契約を巡っていかなる議論があるかを調査した。DCFR(共通参照枠組)で規定されている役務提供契約・総論の意義について(委任は別の章立てで規定がある)、2009年10月9日ドイツ・オスナブリュック大学法学部のシュミット・ケッセル教授に講演をしていただいた(報告原稿が完成しておらず、未だ補充されていないため、翻訳の公表が遅れている)。質疑応答では、役務提供契約の総論を規定することによって民法における委任の規定が形骸化してしまうのではないかという点がもっぱら中心的な論点であった。私自身、委任契約の規定を豊富化することが先決ではないか、と感じた次第である。 つぎに、昨年度に引き続き東アジア各国の成年後見制度について比較検討をおこなった。(2) ソウルでの日韓民法改正についてのシンポジウムでの報告・討論(昨年11月14日)岡は「自然人について」というテーマで報告し、かつ、先方の依頼により、韓国成年後見制度改正案についてコメントを発表。12月にはこの改正案が民法の一部改正案として国会に上程された。その国会提出法案について、翻訳に依拠しながら、詳細に分析検討した。その成果は、本年6月頃刊行予定の須永醇先生傘寿記念論文集(酒井書店刊)に発表の予定だが、韓国改正案でとりわけ重要と思われるのは、身上監護に関する規定である。特に成年後見人による医療行為の代諾は日本法にとっても参考になると思われる(「成年後見制度の課題-医療行為の代諾の可能性-」と題して銀行法務21・本年2月号に「法務時報」(1頁)としてこの点を論じた)。(3) 「東アジアにおける成年後見制度の現状と課題」の研究会(昨年12月23日。韓国から2名の研究者、日本法としては司法書士2名を招聘)任意後見契約と同時に締結した通常の委任契約に基づいて事務処理をおこない、要件が充足された以降も任意後見契約に移行しようとしないケースが散見されるという報告に基づいて、どのようにしてこの弊害を除去あるいは未然に防ぐかについて議論をした。
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