2008 Fiscal Year Annual Research Report
契約法の国際的ハーモナイゼーションによる同一化と個別化
Project/Area Number |
19530077
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
大中 有信 Hosei University, 法務研究科, 教授 (60288975)
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Keywords | ヨーロッパ契約法 / 錯誤 / 情報提供義務 / 詐欺 / 意思表示 |
Research Abstract |
平成20年度には,進行しつつあるヨーロッパにおける私法統合の試みである,Gemeinsame Referenzrahmen des Privatrechtsの最終研究者草案が公表され,情報提供義務および契約締結上の諸規律,さらに錯誤・詐欺・強迫,法律行為の解釈に関する規定の構造と,これにかかる諸文献を収集し,この新たな立法論的議論を中心として,様々な論者の見解を比較検討するとともに,比較法の方法的基礎に関する文献を収集の上,検討をおこなった。 また,年度途中からは,ケルン大学のヨーロッパ私法研究所において研究を継続し,直接このプロジェクトを担当するフォン・バール教授,シュルテ=ネルケ教授(いずれもオスナブリュック大学)と会見して,意見を聞くとともに,バール教授の助手であるマクガイアー氏のこの草案にかなり批判的な立場を明確にしているマックス・プランク比較法研究所(ハンブルク)の諸教授,ユルゲン・バーゼドー教授,ラインハルト・ツィンマーマン教授とも会見し,意見交換をおこなった。 本研究の各論的テーマである,契約締結にかかる諸問題については,いわば手続き的な契約の実質化の側面をもつものであり,その範囲と内容については,他の実質化にかかる契約法上の解釈学上のアプローチとの相互作用を明確化する必要があるという点では,おおまかな一致が見られ,それが各法行きにおいてどのような分化を見せるかを検討した。現在その内実を比較法的に検討する作業を進めている。 上記の分析の成果は,近く民商法雑誌および法学志林において公刊される。
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Research Products
(3 results)