2008 Fiscal Year Annual Research Report
日仏における債務不履行および瑕疵担保責任の基礎理論の比較研究
Project/Area Number |
19530079
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
野澤 正充 Rikkyo University, 法務研究科, 教授 (80237841)
|
Keywords | 瑕疵担保責任 / 債務不履行責任 / EU法 / 危険負担 / 民法改正 / フランス法 / 法定責任説 / 債務不履行責任説 |
Research Abstract |
本研究は、当事者が合意した契約が何らかの事由によって履行できなくなった場合における契約の効力について、日本とフランス、さらにはEUの法制度を比較研究することにより、混迷しているわが国の解釈論に、新たな視点を提示することを試みるものである。そのために、本年度は、一方では、瑕疵担保責任について、前年度に引き続き、日本法の沿革を明らかにし、その問題点を追究した(瑕疵担保責任法の課題と展望、瑕疵担保責任の法的性質(1)法定責任説の三つの考え方-いずれも、法律時報の論文)。その結果、沿革的には、瑕疵担保責任を売主の無過失責任であると解し、その無過失責任の根拠が危険負担であることが明らかになった。そして、従来の判例も、このような観点から再評価することができることを明らかにした。他方、フランス法でも、瑕疵担保責任が危険負担(給付危険)に基づく無過失責任であることが明らかとなり、わが国の議論に大きな影響を与えるものであることも明らかにした(フランスにおける瑕疵担保責任の法理-法律時報の論文)。そして、法律時報7月号においては、本研究の代表者が編者となり、瑕疵担保責任と債務不履行責任との関係を明らかにする特集を組み、ドイツ法やEU法、また、実務の視点も加えて、本研究課題に関する多角的な検討を行った。今後は、さらに日本法における精緻な解釈論を展開するとともに、フランス法における議論の沿革をさらに検討することとしたい。
|
Research Products
(5 results)