2007 Fiscal Year Annual Research Report
人格主義の生命倫理の実定法化の試み-生殖補助医療技術の規制を中心に
Project/Area Number |
19530086
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
秋葉 悦子 University of Toyama, 経済学部, 教授 (20262488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
盛永 審一郎 富山大学, 医学薬学研究部(薬学), 教授 (30099767)
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Keywords | 生殖補助医療技術 / 人格主義生命倫理 / 着床前遺伝子診断 / イタリア生殖補助医療法 / ドイツ胚保護法 / バイオ・エシツクス / バイオ・ロー / ヒト胚の地位 |
Research Abstract |
筆者はローマ・カトリック大学医学部名誉教授のセラ教授らと連絡を取りつつ、国内でイタリアの生殖補助医療法に関する最新情報・文献収集とその分析に従事した。法施行3年後の実態について記した報告書によると、法律の施行により、犠牲にされる胚の数は確実に減少したが、特に出生率の低下は見られないという。イタリアの現状の調査と併せて 人格主義生命倫理のわが国における受容可能性を探るため、生命倫理と宗教の問題を扱った様々な学会や研究会などに参加して情報の収集に努めた。また今年度は、様々な機関(聖マリアンナ医科大学病院、開ログローバル研究会・宗教と生命倫理、富山県着護協会、NPO法人・生命尊重センター、内開府総合科学技術会議・生命倫理専門調査会、日本家庭教育学会等)からヒト胚をめぐる人格主義生命倫理についての講演の依頼があったので、人格主義生命倫理のわが国における具体的な受容可能性を探る実地調査の機会とした。日本では、人格主義生命倫理の基本原則である人間の尊厳原則を受け入れる明確な宗教的基盤を見出すことは困難かもしれないが、平和を希求するメンタリティは、日本人が人間の尊厳原則を受容する共通の基盤になるかもしれない。 盛永教授けベルリンのドイツ医師会、リューベック大学病院婦人科のディレクター・K.ディートリッヒ教授らを訪問し、2006年にドイツ連邦医師会が作成した「生殖補助医療実施のためのガイドライン」とドイツの生殖補助医療の現状について調査・文献収集を行った。ガイドラインは、1990年の胚保護法に従って着床前診断を許容していないが、PKD(極体生検)ならよいとしている。 PKDは胚の形成前に実施されるため、胚保護法に抵触せずに卵子の遺伝子情報を調べることができるという。現在、ドイツで収集してきた資料の解読と、胚の身分に関する諸外国の文献の収集・解読を行っている。
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Research Products
(4 results)