2007 Fiscal Year Annual Research Report
知的財産法の解釈および制度設計に対する競争政策的観点からの規律の在り方
Project/Area Number |
19530088
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
泉 克幸 The University of Tokushima, 総合科学部, 教授 (00232356)
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Keywords | 知的財産権 / 特許権 / 独占禁止法 / ライセンス |
Research Abstract |
1)研究の初年度にあたる本年は、主として資料の収集および中期的観点からみた場合の問題点の整理を行った。具体的には、東京圏や関西圏を中心に大学図書館やシンクタンク等に赴いて、関連の資料収集を行うと共に、各種の研究会やワークショップ等に出席・参加した(開西経済法研究会(主催:公取委近畿事務所)、独禁法審判決例研究会(主催:比較法研究センター)、知的財産判例研究会(主催:比較法研究センター)など)。研究会等においては他の研究者や弁護士・弁理士および企業の法務担当者等との意見交換も積極的に行った。 2)本年度の具体的成果の1つとして、「日之出水道特許ライセンス数量制限事件」の判例評釈(「11.研究発表」参照)を公表した。本件は特許権等の通常実施権許諾契約に含まれる最高数量制限条項に対する独占禁止法上の評価が問題となった事例である。知的財産権ライセンスに対する独禁法上の評価については、今年度、公正取引委員会より新ガイドラインが公表されるなど、現在、知的財産法および独禁法の両領域において最も活発に議論されている問題の1つである。本評釈は、こうした議論や実務に対し、一定の寄与をするものと思われる。なお、本評釈で論じたテーマは、(1)独禁法21条の解釈について、学説の整理と公取委実務の現状、(2)ライセンシーが最高数量制限条項に違反した場合、特許権侵害が成立する可能陛について、(3)最高数量制限条項の独禁法違反の可能陛と、独禁法違反の場合の私法上の効力について、などである。
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