2009 Fiscal Year Annual Research Report
知的財産法の解釈および制度設計に対する競争政策的観点からの規律の在り方
Project/Area Number |
19530088
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
泉 克幸 The University of Tokushima, 大学院・ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 教授 (00232356)
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Keywords | 知的財産権 / 特許 / 独占禁止法 / ライセンス |
Research Abstract |
本年度も昨年度に引き続き、東京圏および関西圏を中心に、大学図書館やシンクタンク等に出向き、資料の収集を行った。また、各種の研究会やワークショップ等に出席・参加した。例えば、四国経済法研究(2009年10月1日、公正取引委員会四国支所)において「競争政策と知的財産権」という表題の下、日本音楽著作権協会(JASRAC)に対する排除措置命令(H21.2.27)を素材に報告を行った。 今年度の研究実施計画として交付申請書では、「知的財産権のライセンス」を具体的に挙げていた。そして、同テーマに基づき、2009年9月12日、神戸大学において開催された日本工業所有権法学会の研究大会シンポジウム、「特許法における競争政策」の中で報告者の一人として報告を行った(後記〔学会発表〕参照)。同報告は、パテントトロール等、特許権者の「行き過ぎた権利行使」を競争政策の観点からいかに対処することができるかという、昨今重要視されている問題に関連する意義深いものである。報告では、ライセンスの場面を特に取り上げ、ライセンスに関連して競争上の弊害が生じる具体的場面を明らかにした上で、特許ライセンスを制限する手法の類型を、具体的に分析・検討した。その際、民法の一般条項である権利濫用や信義則の適用可能性についても触れた。また、現行の特許法の解釈のみならず、有り得べき立法論についても指摘した。報告の後、他の報告者も加わり質疑応答が行われたが、研究者、実務家からも意見等が出され、この問題に対する関心の高さが窺えた。 なお、昨年度の研究内容であるが、特許権の間接侵害と競争政策に関する論文が具体的成果として公表された(後記〔雑誌論文〕参照)。
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