2007 Fiscal Year Annual Research Report
医療ネグレクトへの医事法的対応-病院倫理会とソーシャルワークの機能
Project/Area Number |
19530089
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
保条 成宏 Fukuoka University of Education, 教育学部, 教授 (80252211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
空閑 浩人 同志社大学, 社会学部, 准教授 (90325431)
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Keywords | 医療ネグレクト / 新生児医療 / 新生児集中治療室 / NICU / 病院倫理委員会 / 医療ソーシャルワーカー |
Research Abstract |
まず、医療ネグレクトが比較的生じやすい新生児医療の現状を把握するために、研究代表者の保条が東京都内にある大学病院の新生児集中治療室(NICU)を訪問調査し、その医療設備や人的体制を検分するとともに、同室の管理責任者である教授からの聞き取りを行い、医療ネグレクトの背景・要因について解明を試みた。また、研究分担者の空閑および研究協力者の高橋直紹(愛知県弁護士会所属)とともに、愛知県下の基幹的な公立総合病院の新生児集中治療室を訪問調査し、その医療設備や人的体制を検分するとともに、小児科医長から、新生児に係る医療ネグレクト事案への対応の実際に関して聞き取りを行い、臨床医としての対応方針についてアプローチを試みた。さらに、関西地区の大学病院を空閑および研究協力者である野村裕美(同志社大学社会学部助教)とともに訪問調査し、医療ソーシャルワーカーから聞き取りを行い、医療ネグレクトに対応するための病院倫理委員会を中心とした組織・体制のあり方や、医療ソーシャルワーカーが果たしている役割を明らかにした。 医療ネグレクトへの法的規整については、刑事法・民事法・福祉法を視野に入れつつ、またドイツ法の状況も踏まえながら考察をすすめた。その成果として、保条は、小山剛(慶應義塾大学法学部教授)ほか編『子どもの医療と法』(2008年刊行予定)に研究協力者である永水裕子(桃山学院大学法学部講師)との共著「子どもの医療と日本の法状況」を寄稿した。また、保条は、日本生命倫理学会シンポジウム「子どのもの権利と生命倫理」や日本刑法学会名古屋部会(2008年3月)において報告を行った。さらに、児童虐待問題をテーマとして福岡県弁護土会と福岡市医師会が共催したシンポジウム(2008年3月)において、保条と高橋がパネリストとして参加し、弁護士・医療関係者・児童福祉関係者を対象として報告をおこなった。
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