2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530093
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
牧原 出 Tohoku University, 大学院・法学研究科, 教授 (00238891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 彬久 東京国際大学, 国際関係学部, 教授 (60129096)
天川 晃 放送大学, 教養学部, 教授 (10009813)
御厨 貴 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00092338)
宮城 大蔵 政策研究大学院大学, 准教授 (50350294)
伊藤 正次 首都大学東京, 社会科学研究科, 准教授 (40347258)
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Keywords | 岸信介 / 田布施町郷土館 / 自由民主党 / 戦後政治 / 吉田茂 / 派閥政治 |
Research Abstract |
本年度の作業は、第1に岸信介関係資料の収集、第2に岸信介日記の撮影による複写、第3に研究会メンバーによる予備的な分析からなる。第1に、岸信介の回想緑、評伝などの公刊文献をできるかぎり網羅的に収集し、関係する政治家(たとえば1980年前後に岸と宏池会とパイプ役となった田中六助など)についても基本文献を収集した。さらに、田布施町立田布施図書館が所蔵する岸信介旧蔵図書「岸文庫目録」なども収集し、岸の所蔵文献を把握した。第2に、田布施町郷土館に連絡をし、寄託者である岸信夫氏と面談し、研究目的としての資料の収集について包括的な許可を得た。その上で、郷土館に行き、手帳・メモ、書簡、岸信介執筆記事、後援会発行の諸資料を閲覧し、必要に応じて撮影による複写を行った。第3に、上記の複写資料を研究会メンバーに配付し、それぞれよる予備的検討を行った。その結果、日記関係の資料は全体として、佐藤内閣終了後から保存されており、岸が自民党最高顧問に就任する直前から記述が豊富になること、すなわち岸の政治的活動が活発化することが判明した。また、書簡類も岸の妻の死にまつわるものや、安保改訂反対運動持の他派閥領袖からの書簡など、岸にとって思い入れの深い書簡類が特に選定されていること、また吉田の佐藤宛書簡が岸家に保存されていることから、吉田が佐藤に託す形で岸にメッセージを送っていることが読みとれた。この吉田と佐藤・岸の関係は、岸が自民党最高顧問に就任後の岸と福田赳夫・田中角栄との関係に類比できるという見通しが立った。今後は、外交関係の資料の分析を進めながら、内政では福祉国家論、自民党論などと関連付けつつ、多角的に分析を行う予定であるが、そのための基礎作業を終えることができた。
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