2009 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀フランスにおける「共和国モデル」の形成の研究
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19530095
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
北川 忠明 Yamagata University, 人文学部, 教授 (00144105)
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Keywords | フランス / 共和国モデル / 多様性 |
Research Abstract |
本研究は、18世紀の啓蒙哲学の代表者、ウォルテール及びコンドルセから始めて、イデオローグたち、カント派共和主義者、実証主義的社会学を経由して、19世紀末の共和主義者たちにいたる、反ジャコバン派の「共和国」像に焦点を絞り、ラランス「共和国モデル」の形成を思想史的に検討したものである。 従来、フランス共和主義研究においては、ルソー=ジャコバン的要素を強調する傾向が強く、そこから「非自由主義的傾向」が強調されるきらいがあった。本研究では、19世紀末に確立するフランス「共和国モデル」が、オポルチュニスト、カント派共和主義者、実証主義的社会学者たち反ジャコバン主義の系譜の共和主義者たちによって形成されたことに着目し、ジャコバン・モデルを修正する要素を組み込んでフランス「共和国モデル」が確立したこと、及びその特質を明らかにしようとした。 また、フランス「共和国モデル」の確立過程が同時にフランス植民地帝国が形成されたことも踏まえて、両者の関係を問う作業も行った。 さらに、現第五共和制におけるフランス「共和国モデル」の変容についても、定住移民の統合問題を中心として検討するための基礎研究も行った。 研究成果としては、「ヴォルテールと共和主義」(山形大学『法政論叢』,43号、2008年)、「フランス共知国モデルの現在」(『思想』、1020号、2009年)、「多様性に開かれた共和国-A.ルノーの応用政治哲学」(『彦根論叢(滋賀大学)』、383号、2010年)を公表し、現在、コンドルセ、カント派共和主義の「共和国像」を対象とした論稿を準備している。
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