2008 Fiscal Year Annual Research Report
政治行政システムと公共利益団体-消費者団体の組織と選好の日米英比較を事例として-
Project/Area Number |
19530097
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
井上 拓也 Ibaraki University, 人文学部, 教授 (70291284)
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Keywords | 公共利益団体 / 消費者団体 / 消費者政策 / 政党制 / 行政国家 / 行政組織 / 法人制度 |
Research Abstract |
本研究の目的は、政治行政システムとしての政党制と行政国家が、公共利益団体の組織と選好にどのような影響を及ぼしているかを、目米英の消費者団体を事例として検討することである。そこで昨年度に米国の消費者団体と国際消費者機構総会を調べたのに続き、本年度は英国の消費者団体と欧州消費者機構について調べた。そしてその過程で、英国では、米国型の社会顧客消費者団体であうWhich? (消費者協会)が依然として大きな影響力を持つ一方で、英国に特徴的な地方団体の連合団体である英国消費者連合が大きく衰退し、また国家顧客消費者団体である英国消費者委員会がコンシューマー・フォーカスへと再編された現状が明らかになった。 そして日米英の消費者団体の現状を比較してみると、まず政党制については、政党が包括政党化・脱イデオロギー化した現在では、政党と消費者団体の関係は相対的に中立的なものであることが想定される。しかしその一方で、米英の消費者団体が他の利益団体から相対的に自由に消費者利益を追求しながら、日本では必ずしもそうとは言えない要因として、社会集団間の関係においてイデオロギー的要因があることが想定される。また行政国家については、米国では、社会集団から社会集団への資源の移転回路が直接的に確立されており、行政組織の影響は小さい。また英国では、社会顧客消費者団体と国家顧客消費者団体、あるいは市民社会の側からの消費者団体と行政組織の側からのそれの棲み分けが成立している。そして日本では、法人制度や新消費者行政機構の整備を通じて、消費者団体と行政組織が新たな協調関係に入りつつあることが想定される。
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