2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530100
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 淳子 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (00251314)
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Keywords | 認知 / 幾何学モデル / イデオロギー / 政策 / 政党 |
Research Abstract |
政治学においては、政治的立場の相違に関する実証的データの蓄積があり、政治的決定や競争の分析に用いられてきたが、人間の認知の観点からの分析はなされなかった。一方で、認知心理学・認知科学においては、対象の相違や類似の認知の分析は重要なテーマであり、特に意味に関わる類似や相違は、知的活動を前提とする重要な研究テーマであったが、分析に適するデータは存在しなかった。本研究はこの間隙を埋める学際研究を目指し、認知科学における幾何学モデルを用いることで、政治における相違・類似の認知を分析し、人間の認知一般及びそれに基づいた政治行動の理解を深めることを目的としてきた。政治学においては、政治的競争-特に政党間の競争-を分析する際、政党の政策的立場を点で表し、その相違を距離で表すというデータ化が行われてきた。本研究では、その政党の政策的立場を複数国で国際的調査したデータベースから多次元尺度法による分析が可能であるものを抜き出し、マッピングにより実際にどのような空間が形成できるかを分析してきた。本研究者はその日本における調査を担当し、1996年の総選挙から4回の総選挙後に加え、本年度も総選挙後に政党や選挙研究の専門家である政治学者にアンケート調査を行うという形での調査を行った。これらのデータは近日中にhttp://www.katoj.j.u-tokyo.ac.jp/に公表する予定である。政治学では、調査への回答の平均を政治分析のデータとして使ってきたが、本研究では、個々の回答を政党の政策位置の認知のデータとして分析しても、相違を空間において幾何学的に認知しているということを確認した事に意義がある。この成果に基づいて、社会科学者(政治学者)向けの論文と認知科学者向けの論文を、現在、執筆投稿中である。また、同じデータを用いて政党間の競争をその政策位置から分析するという異なる観点からの論文を完成し、研究書の一章として出版した。
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Research Products
(2 results)