2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530105
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河田 潤一 Osaka University, 法学研究科, 教授 (00104729)
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Keywords | 市民教育 / 政治的社会化 / 新社会運動 / 多文化主義教育 / 社会関係資本 / 認知的・道徳的発達 / 民主主義 / 公的争点分析 |
Research Abstract |
平成20年度にあっては平成19年度に収集した資料・文献の解読を進めると同時に、未だ未入手の文献・資料を主として国内の図書館、あるいはウェッブを通じて収集した。 戦後アメリカの公民科カリキュラムは、「事実」認識能力と「価値」的実践能力の訓育を中心に編成されてきた。しかし、1960年代に入ると冷戦構造の変化や「豊かな社会」への異議申し立て等の社会変化を受けて、感情・行動を重視する方向での公民科(特に初等・中等学校)見直し運動が台頭した。 既に紹介したことがある「公的争点分析」アプローチ(「『公的争点分析アプローチ』と市民教育-ハーバード社会科プロジェクトをめぐって」『姫路法学』25-26合併号,1999年29-48頁)以外にも、「認知的・道徳的発達」カリキュラムや「地域社会参加」カリキュラムが注目されることとなったのである。代議制の形骸化やサブ政治、「専門家による政治」の問題点を「討議(熟議)」の活性化を通じて乗り越えようとする参加あるいは討議デモクラシー論が今日重要であるとすれば、そうした参加や討議を支える市民の形成は、こうした教育カリキュラムと一部接合されることで実質化するものと思われる。 平成20年度は、こうした問題意識から、特に上述の後者2つのカリキュラムの主張点を、既に多くの紹介がある英ブレア政権への諮問委員会報告「市民教育と学校教育における民主主義教育」(通称「クリック報告」)との対比など行いながら論点整理を行った。
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