2008 Fiscal Year Annual Research Report
近代イギリスにおける政治的賢慮概念の展開-諷刺文学の政治思想史的研究-
Project/Area Number |
19530110
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岸本 広司 Okayama University, 大学院・教育学研究科, 教授 (20186216)
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Keywords | 近代イギリス政治思想史 / 政治的賢慮 / オーガスタン時代 / 諷刺文学 / ジョナサン・スウィフト |
Research Abstract |
本研究は、近代イギリスの諷刺文学において政治的賢慮概念がどのような変容を遂げながら展開されたかを、17,18世紀の文人やパンフレット作家たちの作品および言説を取り上げて、歴史的コンテクストを重視しつつ政治思想史的に解明することを目的とする。 研究計画2年目の平成20年度は、オーガスタン時代の諷刺作家であるジョナサン・スウィフト、アレグザンダー・ポープ、ジョン・ゲイ、ジョン・アーバスノットを考察対象とし、彼らにおけるスクリブレルス諷刺の本質を解明した。とりわけ注目したのはスウィフトである。スウィフトの諷刺の本質を捉えるために彼の文学作品を政治思想的に検討し、スウィフトの諷刺から政治的賢慮概念とその政治的含意析出の作業を行った。併せて、アリストテレス以降の政治的賢慮の伝統とスウィフトの諷刺文学との思想的連関性を探り、スウィフトにおける実践哲学的性格を明らかにした。分析したテクストは、Discourse of the Contests and Dissentions between the Nobles and the Commons in Athens and Rome(1701); A Tale of a Tub, The Battle of the Battle of the Books(1704); Predictions for the Year1708(1708); The Accomplishment of the First of Mr.Bickerstaff's Predictions(1708); A Vindication of Isaac Bickerstaff, Esq. (1709); The Publick Spirit of the Whigs(1714); Drapier's Letters(1724-25); Gulliver's Travels(1726)等である。なかでも、これまでほとんど研究されてこなかった占星術師で暦作家のジョン・パートリッジを諷刺した「ビッカースタッフ・ペーパーズ」(Bickerstaff Papers)を重点的に取り上げ、スウィフトにおける宗教論や科学論や政体論の解明を通して、彼の諷刺の政治思想史的意義を明らかにした。その成果の一部は、 「スウィフトとビッカースタッフ・ペーパーズ(一)」と題して『岡山大学法学会雑誌』(第58巻1号、2008年)に公表した。
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Research Products
(1 results)