2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530117
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
西川 伸一 Meiji University, 政治経済学部, 教授 (00228165)
|
Keywords | 司法官僚 / 最高裁事務総局 / 判検交流 / 経歴的資源 |
Research Abstract |
標記の研究課題を達成するためには,裁判官の経歴についてのデータベース化が不可欠な作業である。今年度においては,そのための資料収集とデータベース構築に多大な時間を割いた。具体的には,裁判官の人事異動がすべて掲載される『裁判所時報』を第1号からすべてを入手した。これと『全裁判官経歴総覧第四集』(公人社,2004年)および『官報情報検索データベース』,さらには『G-Searchデータベースサービス』を用いて,データベース化作業を行っていった。 最初に手を付けたのは,最高裁事務総局の6局長,高裁8長官,同8事務局長,関東・東京・大阪の地(家)裁の11所長の歴代就任者である。これらを上記資料やデータベースを用いて確定させた。さらに彼らの経歴をポストごとに累積することによって,各ポストの司法行政上の特徴を探った。 さらに,これらは同一の裁判官が相互に重複して就任していることに鑑み,それぞれの重複就任関係を明らかにした。たとえば,同じ高裁長官でも,東京高裁長官はすでに他の高裁長官の経験者が就いている一方,高松高裁長官になると,全員が初任の長官であった。両者の司法行政ポストとしての優劣関係は明白となった。 これらの分析を通して,私は「経歴的資源」という仮説的概念をたどりっいた。司法行政上の歴任ポストを「資源」として蓄えて,出世の階梯を昇っていくのである。判事補時代に事務総局官房事務部局の局付になり,その後,同部局の課長になることは最強の「経歴的資源」であり,これを備えた者は事務総局官房事務部局の局長から事務総長,ひいては最高裁判事への道が開かれている。 以上の成果は,別掲の拙稿「司法官僚の経歴的資源」で論述した。来年度はこの視角から「判検交流」に切り込んでいきたいと考えている。
|
Research Products
(4 results)