2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530129
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井口 治夫 Nagoya University, 大学院・環境学研究科, 教授 (80288604)
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Keywords | 日米関係 / アメリカ政治史 / アメリカ外交史 |
Research Abstract |
本研究は、日本事情に明るい、いわゆる知日派米国人の1930年代から1960年代までの対日観と日米関係における役割と貢献を考察する内容である。平成14年度から平成16年度の基盤研究(C)の研究課題であったボナー・フェラーズ(Boner Fellers)と1945年以降世界観をかなり共有するようになったノースウェスタン大学の政治学者で日本の専門家である。終戦時ジョセフ・グルー(Joseph Grew)国務次官と次の2点で意義投合していた-天皇制を利用する形で日本の降伏を促し、占領政策を進める、また、東アジアの戦後に共産主義が拡大することを警戒。赤狩りの時代フェラーズと同様マッカーシー上院議員を中心とする共産主義弾圧運動に加担し、オーエン・ラティモアを糾弾した。本研究は長尾龍一の『アメリカ知識人と極東』で描かれているオウエン・ラティモアを中心とするグループと思想的に対立していた知日派の人たちを主たる題材としている。本年度は、コールグと大山郁夫の良好な関係の崩壊を、当時の国際政治情勢と日米それぞれの国内政治情勢の文脈で、彼らの世界観の相違点を比較検証しながら描いた。その成果が本年度の3本の論文のうちの一本となった。残りの2本の論文中1本は、コールグローブが1946年以降熱心に支持していったマッカーサー擁立運動を考察、分析したものである。最後の論文は、戦前の知日派米国人が日本と関わっていた背景要因としての傀儡国家『満州国』と米国について考察と分析を行った。ここでは、ラティモアと同様戦後赤狩りの対象となったジョン・ペートン・デービスと、戦後の知日派でライシャワーの同僚であったU・アレクシス・ジョンソンの在満州総領事館における役割を紹介している。
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Research Products
(3 results)