2007 Fiscal Year Annual Research Report
ソフト・ガバナンスの台頭-市民社会、企業、そして国際組織による秩序の模索-
Project/Area Number |
19530131
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
山田 高敬 Tokyo Metropolitan University, 社会科学研究科, 教授 (00247602)
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Keywords | ガバナンス / 国際組織 / 市民社会 / 国際政治理論 / レジーム |
Research Abstract |
本研究の目的は、昨今国際関係に見られるソフト・ガバナンスの台頭の理由を明らかにしつつ、その特徴および有効性を理解するところにあるが、初年度の目標は、ソフト,ガバナンスに関する先行研究のレビューを行うことと、二次資料に基づく予備的な検討を通して分析の対象を絞ること、およびソフト・ガバナンスを類型化するととにあった。これらの目標を達成することで得られた知見は以下の通りである.第1に、ソフト・ガバナンスには様々なタイプのものがあることが判明した。目的別に分類すると、何らかの標準を設定するものと企業や政府の学習を促進するもりら分けらけた。前者にはForest Stewardship Council、ISO14001および世界ダム委員会のガイドラインなどが含まれ、後者には国連のグローバル・コンパクトなどが含まれる。そしでガバナンスへの参加主体別に分類すると、企業がイニシアティブをとって創設したもの、NGOがイニシアティブをとって創設したもの、さらには公的機関が関与したものに分類できだ。第2に、ソフト・ガバナンスが台頭した理由に関しては、NGOが関与したケースを中心に分析したところ、国連プロセスやブレトンウッズ体制などの多国間主義がうまく機能しなかったところに起因していたことが判明した。第3に、公的機関の関与がソフト・ガバナンスの性質にどのような影響を与える可能性があるのかに関して、ポスト世界ダム委員会の制度として創られた国連環境計画(UNEP)のダム開発プロジェクトを事例研究にそのプロセスに関与したNGOから聞き取り調査を実施した.それによりソフト・ガバナンスの普遍性を高めるには公的機関の関与が必要となるが、公的機関が関与することで基準の厳格性が損なわれるというジレンマが発生し得ることを確認することができた。
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Research Products
(2 results)