2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530132
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
小林 誠 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (60257813)
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Keywords | 国際関係 / 国家権力 / 脱領域化 / 強制力 / 人道的介入 / グローバリゼーション / 安全保障 / 国際倫理 |
Research Abstract |
平成19年度は、3年間の研究の基礎固めのために理論研究を主に進めた。まず、一定の領域内に構成されてきた国家権力が、その限界を超えて外部に投影能力を持つようになったというだけでなく、国境を越えた権力自体が形成されてきたという観点を、一定程度提示するという作業の進捗があった。権力の脱領域化の論じ方を工夫したということである。これは、大久保史郎編『グローバリゼーションと人間の安全保障』日本評論社に収録の単著論文「グローバリゼーションと国際政治(1)-権力の領域化と脱領域化」に理論的なアプローチから考察されている。そこでは、単に権力の脱領域化が今日進んでいるというだけでなく、それに権力の領域化という在来のメカニズムも根強く残るために大きな摩擦が起きていて二面性を示していることが明らかにされた。 さらに、以上の問題を具体的な実証のレベルで論じた論文を、進藤榮一他編『戦後日本政治と平和外交』法律文化社に収録の単著論文「ハードな戦争とソフトな戦争-グローバリゼーションの中の日本外交-」として発表することができた。権力の脱領域化が、戦争という暴力の変容を通じて進む様子が示された。 なお、3月にサンフランシスコで行われた米国の国際学会ISAにコメンテーターとして参加し、国際関係論の日本における発展の特異性について議論を行った。また海外の研究者と情報交換を進めた。20年度にも学会報告を含めたこうした活動を続けたい。また権力の構成の変化を強制力行使から見つめる作業に進むために、旧ユーゴ、ソマリア、ルワンダなどの介入に事例について一次資料を用いた分析作業を始めつつある。
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