2008 Fiscal Year Annual Research Report
地域統合組織の加盟国国内政治に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
19530134
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
五月女 律子 The University of Kitakyushu, 法学部, 准教授 (50326526)
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Keywords | スウェーデン / EU / 地域統合 / 国内政治 / ヨーロッパ / 政党政治 / 対外政策 / 国際関係 |
Research Abstract |
平成20年度は、1980年代末から90年代初頭にかけての、スウェーデンを取り巻く国際環境、スウェーデン国内政治を考察し、スウェーデン政府がEC加盟申請決定に至った要因を分析した。1980年代末に国際環境は大きく変容し、スウェーデン政府が70年代初頭にEC加盟とは両立しないとした「中立政策」の意義は変容し、EC諸国とスウェーデンを含むEFTA諸国との関係も緊密化を目指す方向に変化し、EEA(欧州経済地域)創設のための交渉が開始された。スウェーデンを取り囲む国際環境の変化と同時に、スウェーデン国内でもさまざまな分野での国際化や分権化によって、国内政治の主要アクター間の関係が変化し、既存の政策決定システムが変容した。その結果として、スウェーデン政府は1970年代初頭以降、対外政策の選択肢から除外してきたEC加盟申請決定を短期間のうちに実現し、90年代初頭に加盟申請に至った。スウェーデンの対外政策の大きな転換を国内政治構造の変容から分析することには意義があったと考えられる。 もう一つの研究成果として、1960年代から2000年代までのスウェーデンとヨーロッパ統合の関係を整理した。スウェーデンにとっては、1990年代半ばまではECと経済的に良好な関係を維持することが重要であり、1960年代から70年代初頭にEC加盟に関する議論はあったものの、加盟申請は見送られた。1995年のEU加盟後は、加盟国としてEUにどのように影響を及ぼすか、また自国に不利にならないようなEUレベルでの政策をいかに実現するかが、課題となっているといえる。スウェーデンのEU加盟前後の政策を通史的に整理することには、政策の変化を捉える意味で意義があったと考えられる。
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