2008 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ・メルケル政権の安全保障政策-対米国・欧州連合関係を中心として
Project/Area Number |
19530135
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
中村 登志哉 University of Nagasaki, 国際情報学部, 教授 (70382439)
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Keywords | 政治学 / 国際関係論 / 外交・安全保障政策 / 国際情報交換 / ドイツ / 北大西洋条約機構 / 欧州連合 / 戦略文化 |
Research Abstract |
本プロジェクトは、平成18年に公刊した拙著『ドイツの安全保障政策:平和主義と武力行使』の成果の上に、その後のドイツ・メルケル政権の安全保障政策を対米国・欧州連合関係に焦点を当てて、二年にわたって調査・研究したものである。平成20年度はこの研究プロジェクトの最終年度であるため、平成19年度に収集した資料の分析を深化させるとともに、ドイツにおいて実施した聞き取り調査の分析を進めた。その上で、補足の資料収集、並びに聞き取り調査を実施した上で研究成果のとりまとめ作業を実施し、研究成果を発表する計画であった。研究計画に従い、平成20年度においては、資料の分析結果をまとめ、補足の聞き取り調査を実施した。さらに、別記した通り、所属学会である日本国際政治学会、並びに日本EU学会の各年次大会において研究成果の一部を口頭発表し、コメントや批判を頂戴した。これらのコメントや批判を踏まえた上で、研究成果を学術論文としてとりまとめ、日本EU学会の学会誌である「日本EU学会年報」第29号(2009年、有斐閣)に「欧州安全保障秩序とドイツ:メルケル政権の課題とディレンマ」と題する論文を発表した。この論文ではまず、日本、ドイツ、米国などにおける先行研究を踏まえ、ドイツのメルケル政権が、アフガニスタンを含む北大西洋条約機構(NATO)域外への連邦軍派遣を積極化させてきた政策を継承した過程を分析した。その上で、アフガン情勢の悪化に伴い、連邦軍がこれまでは避けてきた地上戦闘へ関与すべきかどうかという重大な問題に直面しており、コンストラクティビズムや戦略文化論を中心に論じられてきたドイツのシビリアン・パワー論や「反軍主義」(Antimilitarism)に関する分析にも大きな影響を与える可能性があることを指摘した。
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