2007 Fiscal Year Annual Research Report
冷戦終焉後の新国際秩序形成と小国ラトヴィヤの研究-1920年代との比較研究から-
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19530137
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
志摩 園子 Showa Women's University, 生活機構研究科, 教授 (80192607)
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Keywords | 国民国家 / 小国 / ラトヴィヤ / バルト地域 / 国際関係史 / ヨーロッパ / 国際秩序 |
Research Abstract |
冷戦終結後の新しい国際秩序形成において、ラトヴィヤは、1991年に他のバルト諸国とともに独立を回復、「ヨーロッパへの回帰」を目標に欧州連合への加盟と地域の安全保障の観点からNATOへの加盟をともに2004年に果たした。この過程において、欧米諸国に並ぶ民主主義国家の形成と国家独立の安定が模索され、新秩序形成への係わり合いを示してきている。 本研究の目的は、共時的、通時的な比較研究を土台に小国ラトヴィヤの国際秩序形成との関係性を明らかにし、国際関係史の中での小国の役割を考察するものである。この研究の背景としては、次の3点がある。(1)これまで参加してきた共同研究から東欧・旧ソ連地域との比較研究の視点と環バルト海地域の地域統合に見られる新秩序形成の考察が共時的視点の土台となること。(2)1918年の「ラトヴィヤ国家」の成立と新国際秩序への関わり合いについての筆者のこれまでのラトヴィヤ国家成立経緯についての研究が、通時的視点の土台となること。(3)「ラトヴィヤ国家」と「ラトヴィヤ国民」を目指す新たな歴史像が創られているのではないかという点から、国際関係史の中でラトヴィヤの成立を考察しなおそうとしてこと。 本研究では、上記3点を総合的に検討してきているのであるが、「国民国家」の相対的地位が下がっている現在、国際関係史の文脈で「国民国家」や「民族自決」を問い直す重要性から、国際秩序との関係性を捉えなおしてみることが、重要な視点と考えている。平成19年度は、1918年に成立した独立国家「ラトヴィヤ」の国際秩序との関係性を、特に近代国民国家を目指す日本の視点も踏まえて考察することを試みた。これは、2007年6月にドイツのリューネブルクで開催されたヨーロッパのバルト研究国際学会での報告として、概略を示すことができた。
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