2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530138
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
池上 佳助 Tokai University, 文学部, 准教授 (40307294)
|
Keywords | 国際関係史 / 冷戦史 / 北欧地域研究 / 米国-アイスランド関係 / 基地問題 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
1. 本研究は、冷戦の「萌芽期」に焦点をあてた「冷戦史研究-北極圏地域における冷戦の展開」(平成15-18年度助成)を継続発展させ、研究対象をトルーマン宣言からNATO創設まで、いわば冷戦が「本格化」、「制度化」していく時期に拡張し、冷戦の変容が北欧の外交・安全保障政策にどのような影響を及ぼしたかを解明していくことを目的としている。 2. 本年度は「冷戦初期におけるアイスランド・米国関係」に焦点をあて、次の四点(1)46年のケフラヴィック協定、(2)48年のマーシャル・プラン参加、(3)49年のNATO加盟、(4)51年の米国・アイスランド防衛協定に関するアイスランドの外交史料収集およびその分析に重点を置いた。具体的には夏期休暇を利用し、アイスランドのレイキャヴィックを訪問し、国立公文書舘・議会図書館において上記四点に関する米国との交渉内容、政策決定に関する公文書の調査、当時の政府要人のメモアール・自伝等を入手した。また、滞在中、同国冷戦史の専門家であるアイスランド大学インギムンダルソン教授、レイキャヴィック大学のヨハネッセン准教授を往訪し、ルンデスタッドの提唱する「招かれた帝国」理論、北極圏における米ソの勢力圏分割等に関して意見交換を行なった。 3. 現在、収集した史料を米国政府の公文書とも照らし合わせながら読解・分析を進めているが、アイスランド語という特殊言語の事情もあり、当初計画より若干の遅れがある。これまで読解した45-49年の政府間交渉、アイスランド国内政局の動きに関する史料からは、米国が自国の安全保障の観点からアイスランドを極めて重視し、米軍による基地使用を強引なまでに要求し、アイスランド側がこれに苦悩する姿が覗え、そこにはルンデスタッド理論とは正反対の「押しかけてきた帝国」の実相が浮かび上がってきている。右に関して、08年度内に論文に纏め学会誌等に発表したいと考えている。
|