2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530138
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
池上 佳助 Tokai University, 文学部, 准教授 (40307294)
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Keywords | 国際関係史 / 冷戦史 / 米国-北欧関係 / 北極圏地域研究 / 基地問題 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
1.本研究は、冷戦の「萌芽期」に焦点をあてた「冷戦史研究-北極圏地域における冷戦の展開」(平成15-18年度助成)を継続発展させ、研究対象をトルーマン宣言からNATO創設まで、いわば冷戦が「本格化」、「制度化」していく時期に拡張し、冷戦の変容が北欧の外交・安全保障政策にどのような影響を及ぼしたかを解明していくことを目的としている。 2.本年度は「グリーンランド、アイスランドにおける米国の基地政策」を課題に、1945年から51年にかけての北極圏地域、特にデンマーク領グリーンランド、アイスランドに対する米国の軍事戦略的位置付け(核・基地政策)に関する米国政府資料の調査およびその分析に重点を置いた。具体的には、夏季休暇を利用して、メリーランドにある米国立公文書館IIにおいて、米軍の駐留継続・基地の長期貸与に関するデンマークおよびアイスランド政府との交渉、NATO創設時の基地・核政策をめぐる米政府内の政策決定、両国との交渉などに関して、国務省本省・在外公館、国防総省、国家安全保障会議(NSC)、統合参謀本部ファイルを検索して関係史料を入手した。また、今次出張の機会に米国での冷戦研究の中心センターとなっているハーバード大学冷戦研究所(HPCWS)およびニューヨーク大学歴史学部の冷戦研究国際プロジェクトを訪問し、米国での最新の冷戦史研究の動向につき聴取するとともに、今後両プロジェクトが予定するシンポジウム、論文発表等の情報提供や資料収集面での便宜が得られることになった。 3.昨年度に調査・収集したアイスランド政府の外交文書やメモアール等の資料と本年度の米国政府の公文書史料を照合しながら、現在、45年のアイスランド政府による米軍撤退要求から46年のケフラヴィック協定締結に至る二国間交渉に関する論文を執筆中である。米国は本土防衛および対ソ戦略の観点からアイスランドおよびグリーンランドでの航空基地確保を極めて重視し積極的な働き掛けを行うが、アイスランド政府は米国の勢力圏下に入ることに慎重な姿勢を崩さず、交渉は難航する。
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