2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530146
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三宅 充展 Tohoku University, 大学院・経済学研究科, 教授 (00190752)
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Keywords | 離散的公共財評価モデル / 支払い用音 / 補償要求 / 準線形効用関数 |
Research Abstract |
本研究課題では、経済モデルの予測、及びそこでの代替的政策に関する社会的評価において計算結果の信頼性を損なう元凶を、消費者の効用関数における非線形性としてとらえている。本年度は、消費者の効用関数における非線形性が、政府の政策評価にどのような問題をもたらすのかを明らかにすることが目的であった。そして、図書館、プールなどの離散型の公共財評価モデルの場合、集計された支払い用意による便益評価がパレート原理を満たすことの必要十分条件は効用関数の準線形性であることを証明した。他方、集計された補償要求による便益評価が平等性原理を満たすことの必要十分条件は効用関数の一様分離可能性であることを証明した。これらの結果により、離散型の公共財評価の場合における、便益評価の適応範囲が明確に示されたが、一様分離可能性は準線形性より弱いので、その計算結果が信頼性をもつのは準線形性の場合であると結論できる。さらに、アロー型の公理系により、これら2つの便益評価を特徴づけることに成功した。そこでは、両者において、パレート原理と平等性原理は共通であるが、独立性原理だけが相異なることを示した。同時に、2つの独立性原理は準線形性の場合には同値となることを確認した。したがって、両者の差異は、非線形の場合において独立性原理だけで説明されることになる。これらの成果を下記の論文にまとめて国際学会において口頭報告した。そして、そのうちの一つは「学会報告Proceedings」として公表された。
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Research Products
(3 results)