2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530148
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神谷 和也 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (50201439)
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Keywords | 貨幣 / マッチング / 非決定性 |
Research Abstract |
本研究は、動学的貨幣経済モデルの一般的特性を明らかにすることを目的とする。具体的には、以下の4つの問題を分析する。1.定常均衡の非決定性が生じるモデルを特定し、非決定性の背後にある一般的論理を明らかにする。2.定常均衡が非決定の場合、いかなる政府の政策が効率的な配分をもたらすかを分析する。3.市場制度の選択(例えば、オークション市場かワルラス市場かの選択)が経済厚生などの均衡の性質に及ぼす影響を分析する。4.定常均衡に収束する均衡経路の性質を分析する。 本年度は、1.の非決定性の一般的論理について以下の成果を挙げた。(i)価値関数が連続かつ貨幣保有分布が連続分布になるケースでも、貨幣的均衡が非決定になりうることを示した。このケースは、これまで非決定性が現れるケースより現実的であり、貨幣的均衡の脆弱性がかなり一般的に成立することが示されたことになる。(ii)これまで、貨幣を含む動学的なワルラスモデルでは非決定性は発見されなかったが、このモデルのあるクラスでは定常均衡が連続無限個存在することを示した。これは、集権的な市場でも貨幣的均衡は脆弱になりうることを示したものであり、貨幣論において重要な貢献といえる。(iii)貨幣を含む動学的なワルラスモデルにおいて、サイクル解はかなり一般的に連続無限個存在することを示した。これは貨幣経済の脆弱性の議論に新たな視点を与えるものであり、経済動学において重要な貢献といえる。
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Research Products
(2 results)