2008 Fiscal Year Annual Research Report
LSEの公共政策論:20世紀イギリスにおける行政学的経済思想の系譜
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19530170
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
江里口 拓 Aichi Prefectural University, 文学部, 准教授 (60284478)
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Keywords | ウェッブ夫妻 / ナショナル・ミニマム / LSE / 公共政策 / 制度派経済学 |
Research Abstract |
2008年度は,ウェッブ夫妻の行政学的経済思想を中心とした再読を行うことを目標に掲げた。その際,LSE(ロンドン大学政治経済学部)の設立背景と,ウェッブ夫妻の経済思想との関連性について研究を進め,研究をロジカルに一貫して再構成することと,その成果を広く公表するという2つの方向で研究を進めた。単著『福祉国家の効率と制御』の公表やオーストラリアでの国際学会報告「ウェッブ夫妻の行政学的経済思想とLSE」,その他の研究会などで多くの研究者と交わり,コメントをもらうことで,この問題が,イギリス政治経済思想史の描き直しの過程に位置づけ直される必要があること,イギリス一国にとどまらずに,アメリカ制度学派との相互影響関係の確定作業が必要であることが認識できた。具体的には,19-20世紀転換期イギリスにおける「国民的効率」を,自由・保守の二大政党体制に労働党およびニュー・リベラリズムが参入する際のメルクマールとしてとらえ直すこと,およびより広い帝国の再建問題などともからめて考察する必要性があること,およびラザフォード(2007)による英米制度派コネクションの奥行きの深さについて認識を深めることができた。H.ファイナーの経済思想との比較研究については,今後の課題となった。
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