2007 Fiscal Year Annual Research Report
初期近代グレート・ブリテンにおける「制度化された信用」の形成と諸問題
Project/Area Number |
19530176
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Research Institution | Ohtsuki City College |
Principal Investigator |
伊藤 誠一郎 Ohtsuki City College, 経済科, 教授 (20255582)
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Keywords | イングランド / 信用 / 登記 / ジョン・ブリスコー / 評判 / 銀行 |
Research Abstract |
17世紀から18世紀にかけての英国(主にイングランド)における「制度化された信用」の形成の過程を、その社会・道徳的不安定要因に焦点をあてて、時代順に見ていった。まず、平成17年7月のオーストラリア経済思想史学会での報告をもとに完成させ、平成18年末英文学術雑誌に投稿した英文論文'The making of institutional credit in seventeenth century England'に対するレフェリ-および編集者からのコメントを受けての改良、および再投稿。本論文では17世紀に入ってから名誉革命直前までのイングランドにおける信用が、数多くの慈善銀行案や抵当銀行案から見る限り、評判reputationや信頼trustなど心理的・社会的要因に規定されていたことを明らかにした。こうした議論の延長線上に名誉革命後土地銀行案が急増し、イングランド銀行が設立された1694年にはJohn Briscoeの土地銀行案が発表され、これをきっかけにいわゆる土地銀行論争が数年にわたり展開される。とくに1694年に限定してこの論争の特質を見ようとしたのが、平成19年7月フランスのストラスブールでのヨーロッパ経済思想史学会における報告'Continuity and discontinuity-the early stage of the land-bank controversy'である。しかし、これと同時に、そうした社会・道徳的側面をもった信用は、抵当銀行に預けられる質や土地銀行で担保とされる土地の登記によって強化されるという17世紀後半の議論、そして論争を調べる必要があると考えられたため、9月6日から19日にかけてのイギリス、ロンドンでの資料調査以降この問題についてまとめ、平成20年1月に「啓蒙と経済学」研究会(京都大学)で、"Registration and Credit"というタイトルで報告。
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