2008 Fiscal Year Annual Research Report
初期近代グレート・ブリテンにおける「制度化された信用」の形成と諸問題
Project/Area Number |
19530176
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Research Institution | Ohtsuki City College |
Principal Investigator |
伊藤 誠一郎 Ohtsuki City College, 経済科, 教授 (20255582)
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Keywords | 信用 / 土地登記 / 利子 / 銀行 / イングランド / 17世紀 / オランダ / 金融史 |
Research Abstract |
17世紀の英国(主にイングランド)における「制度化された信用」の形成の過程を、その社会・道徳的不安定要因に焦点をあてて、時代順に見ていった。 1、まず、すでに英文専門(経済学史)学術雑誌に投稿していた英文論文'The making of institutional credit in seventeenth century England'に対するレフェリーおよび編集者からのコメントを受けての改良。 2、20年1月に「啓蒙と経済学」研究会で報告した'Registration and land bank projects'を改良し平成20年5月にチェコのプラハでおこなわれたヨーロッパ経済学史学会で報告した('Registration and credit in England 1660-1688')。ここでの報告内容である登記の問題は、利子率や移民の帰化の問題と並んで1660年代以降のイングランドにおいて、議会でもしばしば議論された経済関連問題の一つである。 3、20年7月にオーストラリアのシドニーでひらかれたオーストラリア経済学史学会では、この利子率の問題に焦点を当てた原稿を報告した。17世紀半ば以降のイングランドでは、オランダが経済の目指すべきモデルとされ、利子率の問題においても、イングランドはオランダのまねをして利子率を低くすることに耐えられるだけの、安定した信用制度が確立しているかが論争の争点となった。 4、前年度に引き続き、ロンドン大学図書館特別資料室で、1695年の国民土地銀行(The National Land Bank)の議事録(100ページ以上にわたる手稿)をパソコンに打ち込んだ。これは21年度以降に取りくむ、1695年以降の諸土地銀行案とイングランド銀行の間の論争に関する論文のための資料となる。
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