2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530181
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
椎名 洋 Shinshu University, 経済学部, 教授 (80242709)
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Keywords | 多変量解析 / 多変量分布 / 微分幾何 / 情報幾何 / ベクトル空間 |
Research Abstract |
19年度は、以下のような研究を行った。 1)情報幾何的なアプローチが統計学に新たな分野を切り開いたのは、記憶に新しいが、多変量分布を新たな視点から研究するために、微分幾何的なアプローチが有効ではないかと考えている。こうしたアプローチに必要な基礎的な知識の習得を行った。微分幾何の入門書(Boothby 「An introduction to differentiable manifolds and Riemannian geometry」)に目を通し、多様体、微分形式、リーマン計量、測地線等の基礎的な概念を学んだ。一方で、これらの概念が、統計学にどのように使われるかに関して、主として情報幾何の観点から書かれた教科書(Kass & Voss 「Geometrical foundations of asymptotic inference」)を読み始めたが、まだこれはほんの一部しか読んでいない。 2)ユークリッド空間を抽象化したものとして、ベクトル空間が考えられる。従来の多変量分布は、ユークリッド空間に値をとる確率変数をその対象として考えてきたが、これを一般のベクトル空間に値をとる確率変数の場合に一般化することは、理論的に興味のあることである。これに関して、Eatonの著名な教科書「Multivariate Statistics. Avector space approach」(1983)を読み始めた。現在、約三分の一を読み終わったところである。一方、ユークリッド空間の部分空間(例えば、正の値の実数空間やシンプレックス)に適当な演算・ノルムを導入することで、それらは新たなベクトル空間となる。これに上記のアプローチを導入することで、新たな統計手法が生まれる可能性がある。これらに関して、ここ数年書かれた論文を入手してその理解に努めた。
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