2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530181
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
椎名 洋 信州大学, 経済学部, 教授 (80242709)
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Keywords | 多変量正規分布 / 楕円分布 / 固有根 / 許容的 / 情報幾何 |
Research Abstract |
最終年度である本年には、以下のような成果を得た。 1) 楕円分布は、多変量正規分布の自然な拡張の一つであるが、そこから導出される統計量が、場合によっては多変量正規分布のそれと同一であることがある。その一つが固有根の比や寄与率であるが、後者に関して、新しい推定量の開発を行った。新しい推定量は、リスクの点から古典的な推定量をドミネイトすることを証明し、また因子分析や主成分分析において、古典的な推定量の持つ欠点(次元を過小評価師がち)を修正していることを、シミュレーションで示した。この結果は、論文としてまとめ終わり、投稿中である。 2) 多変量正規分布の分散共分散行列の固有根の推定量について、許容的な推定量を導出することに成功した(東京大学、竹村彰通教授との共同研究)。母集団の固有根の推定は、非常に重要な問題であり、今まで多くの研究がなされてきたが、許容的な推定量はこれまでに得られたことがなかった。許容的な推定量が得られたことは、固有根の推定問題に関して重要な成果であり、これを基にした応用、例えば、次元が標本数を上回る特異な状況への拡張などが期待される。この成果は、昨年度中に論文にされ投稿したが、その後改訂作業を得て、今年度国際雑誌に受容された。 3) 前年度に引き続き、情報幾何の視点から多変量分布の導出について考察した。特に、正規分布に、裾野が重たい分布が混ざった場合を考え、前者で後者を近似する際の情報の損失がどうなっているかについて研究を行った。どのような形で近似すれば、損失が少なくなるかについて考察中である。
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