2009 Fiscal Year Annual Research Report
時空間データのための計量モデルの開発ならびにその応用
Project/Area Number |
19530183
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
古澄 英男 Kobe University, 経営学研究科, 教授 (10261273)
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Keywords | ベイズ統計 / 時空間計量モデル / マルコフ連鎖モンテカルロ法 |
Research Abstract |
今年度は,研究実施計画にもとづいて,データの整理,空間的相関と時系列構造を取り入れた計量モデルの開発,本研究で提案する計量モデルに対する効率的な推定方法の開発,これら3点を中心に研究を行った.平成21年度における研究成果は以下の通りである. 1.本年度の研究で使用するデータを収集・整理した.特に,計量モデルに空間的相関構造を導入するのに必要とされるウエイト行列については,最近の研究成果を取り入れるために球面上の距離を利用したウエイト行列を作成した.また,関連する既存研究の文献調査を行った. 2.時空間計量モデルを構築するために,ポアソン回帰モデルならびに時系列解析でよく用いられているマルコフスイッチングモデルの拡張を行った.具体的には,空間的相関を持つ潜在変数をモデルに導入し,ウエイトを領域にしたがって変化させることによって空間的相関を取り入れた.これにより,空間的相関と自己相関を同時に考慮した新しい計量モデルを作成した.さらに,ウエイトが領域にしたがって滑らかに変化するようにモデルの拡張を行うとともに,モデルの識別問題についても検討を行った. 3.2で提案した計量モデルに対して,マルコフ連鎖モンテカルロ法による効率的な推定方法の開発を行った.さらに,モデル選択基準の計算方法に関する研究も行った. 4.1~3の研究成果を用いて,経済成長に関する実証分析を行ったところ,これまで別々に分析されていたβ収束やσ収束が一つの枠組みで行えること,既存のモデルよりも説明力が改善されること,提案する推定方法によってシミュレーションの効率性が向上することなどが確認された.これらの研究成果は,国際学会において共同研究者が発表している.
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