2007 Fiscal Year Annual Research Report
プロジェクト・レベルのデータを用いた開発援助の評価に関する研究
Project/Area Number |
19530194
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
春日 秀文 Kansai University, 経済学部, 准教授 (40310031)
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Keywords | 開発援助 / ミレニアム開発目標 / ドナー評価 / 援助配分 |
Research Abstract |
本研究の目的は、発展途上国の福祉向上のために政府機関によって供与される開発援助が効率的に配分されているかどうかを調査し、援助供与国の評価および援助配分の改善のための情報を得ることである。平成19年度に行った作業は以下のとおりである。1)援助プロジェクトのデータを収集し、分野ごとに集計する。2)各分野の援助に対する被援助国の必要度を測るための指標をミレニアム開発目標と関連が深い分野を中心に収集する。3)分野別に援助がその分野の必要度を表す指標に応じて配分されているかどうかを調べ、各ドナーの援助配分を評価する。推定方法については検討の結果、トービット『・モデルを用いることになった。先行研究で用いられたコントロール変数を加えた上で、必要度の指標が援助シェアに与える効果を推定し、各ドナーがより必要としている国により多くの援助を配分しているかどうか調査した。 ドナー毎に各分野について行った推定結果からは、食糧援助、HIV/AIDS対策、感染症対策などの分野で過半数のドナーが分野別の指標で測った援助の必要性が高い国を選択的に援助していることが明らかとなった。それ以外の分野でも、多くの供与国が一人当たり所得の低い国を選択的に援助しているという結果が得られた。先行研究では、北欧諸国など一部の供与国については貧困国を選択的に援助しているという評価がなされていたが、アメリカ、日本、フランス、ドイツなどの主要供与国についての評価は定まっていなかった。本研究では、分野別のデータを用い、さまざまな必要度の指標を用いることで、多くの供与国がある程度は選択的な援助を行っていることを明らかにした。また、同じ推定をミレニアム開発目標が掲げられる前と後のデータを用いて行ったところ、選択的な援助の傾向が折年強まっているという結果は得られなかった。
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