2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530195
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
大野 正智 Fukushima University, 経済経営学類, 教授 (60302311)
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Keywords | 国際経済 / マクロ経済 / 金融理論 |
Research Abstract |
昨年度、日本経済学会で報告した契約通貨に関する研究の継続を今年度行った。特に、実証分析の推定方法の再検討と理論との対応関係の明確化を中心に行った。この研究は、専門誌に投稿し、現在、掲載予定の状態である。また、原油や穀物の価格高騰に代表されるような輸入物価からのインフレーションが、近年、特に、懸念された。これに伴い、本研究も、価格調整から見た国際貿易と国内物価の観点に頂点を当てて研究を行った。このテーマは、"Invoice currencies, import prices, and inflation"として本学ディスカッションペーパーにまとめ、第62回東北経済学会で発表を行い、そこで得たコメントをもとにさらに改訂を行った。具体的には、輸入価格の変動を、契約価格の変動と円の対契約通貨為替レート変動に分割し、それぞれが、どのように国内財価格に影響を与えたかを、実証分析で検討した。その中で、80年代と2000年以降を比較すると、供給側(輸入価格から国内価格)の影響力に大きな変化は見られなかったが、需要側(国内価格から輸入価格)の影響力が高まっていることが明らかになった。また、最近の「円の国際化」の傾向から、為替レート変動の国内価格への影響力は低下していることが明らかになった。この点については、経済産業省を訪問し関連する資料も得ながら検討を行った。最終的に、この論文は、東北経済学会誌に3月掲載された。また、貿易収支のSカーブ形状については、昨年度明らかになった点を踏まえて、形状そのものの時間的変化の可能性について検討を行った。さらに、世界的な金融危機発生を受けて、国際経済と日本経済の連動性について、「クレジット危機と金融理論」の観点から検討を行い、また、国民経済計算の活用性について、その発行元である内閣府にデータの詳細について、直接、問い合わせを行うなどしながら、研究を進めた。
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