2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530198
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大石 亜希子 Chiba University, 法経学部, 准教授 (20415821)
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Keywords | 経済政策 |
Research Abstract |
19年度の研究実績は次の通りである。第1に,厚生労働省「所得再分配調査」や独自に自治体で実施した調査データに基づき,子どもの貧困率の動向や幼少時の経済状況が学歴達成に及ぼす影響について分析を行った。その結果,子どもの貧困率にはコーホート効果が観察されるものの,不平等度指標については有意なコーホート効果は観察されなかった。このため,同じ時期に生まれた子ども同士での格差が高まっているとは言えないことが分かった。また。15歳当時の暮らし向きが悪い場合に学歴達成が低い傾向がみられ、貧困の世代間連鎖という点で注目される。第2に、ライフサイクルでみた妻の就業パターンの変化が夫婦間所得格差に及ぼす影響についてコーホートの観点から分析を行った結果,夫婦間所得格差についてはコーホート効果がみられないことや、妻の就業には夫婦間所得格差をわずかながら縮小させる効果があることが明らかになった。若年層における格差拡大は,主に単身世帯において起きている。第3に,出産前後の就業継続や育児休業の取得について分析した結果,高学歴で比較的人的資本の豊富な女性ほど育児休業を取得して就業を継続する傾向にあることが示唆された。第4に,子どもがどのような夫婦のもとに生まれるのかについて,時系列的な比較を行うための予備的なデータ整理を行った。
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