2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530198
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大石 亜希子 Chiba University, 法経学部, 准教授 (20415821)
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Keywords | 所得格差 / 女性労働 / 子どもの貧困 / 資産格差 / 婚前妊娠出生 |
Research Abstract |
20年度の研究実績は次の通りである。第1に、国立社会保障・人口問題研究所の「第12回出生動向基本調査」に基づき、婚前妊娠出生とそうでない出生との比較を行い、出生時点におけるendowmpntの格差を検討した。その結果、婚前妊娠出生の場合、父親の学歴が低く、.就業状態も非正規就労や無職の割合が大きいといった、先行研究で指摘されている傾向が確認された。さらに、妻の就労状態については、婚前妊娠出生のほうが妊娠時に就業している妻の割合が高かった。父母を合計した教育年数については、全体としては高学歴化が進んでいるにもかかわらず、婚前妊娠出生の父母の教育年数は過去20年間頭打ちであり、人的資本格差が拡大していることが明らかになった。また、父母合計した所得についても、婚前妊娠出生で第1子をもった父母の所得はそうでない父母より低く、かつ、子どもの成長とともに所得格差が拡大している。婚前妊娠出生が嫡出第1子の25%以上を占める中で子育て世帯間の格差に及ぼす影響が懸念される。第2に、総務省「全国消費実態調査」を用いて0-1歳児のいる世帯の資産格差について分析した結果では、1994年から2004年にかけて、上位〜中位の資産格差はやや縮小した一方、中位〜下位の資産格差は拡大したことが明らかになった。とくに下位の場合、年齢をコントロールしたうえでも、ネット資産がマイナスの世帯が増加している。第3に、妻の就業パターン別に稼働所得の不平等度の分解を行うとともに、1994年と2004年の2年次について比較を行った(北海道大学安部由起子准教授との共同研究)。その結果、いわゆる103万円や130万円の壁を大きく超えて就業する妻と、壁の中の就業にとどめる妻との間の所得格差が妻同士の格差の大きな部分を占めていることが明らかになった。2時点の比較では、妻のパート就業増加によって、ゼロ所得の妻が減少したことが、妻同士の所得格差を縮小させていることが明らかになった。
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