2007 Fiscal Year Annual Research Report
産業におけるプラットフォーム形成の国際比較研究-日中の携帯電話端末産業を中心に
Project/Area Number |
19530199
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丸川 知雄 The University of Tokyo, 社会科学研究科, 教授 (40334263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
苑 志佳 立正大学, 経済学部, 教授 (00308123)
安本 雅典 横浜国立大学, 大学院・環境情報学府, 准教授 (40293526)
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Keywords | 産業論 / 携帯電話 / プラットフォーム |
Research Abstract |
日本と中国の携帯電話端末産業におけるプラットフォーム形成の現状を調査するため、平成19年6月と8月に中国で携帯電話メーカー、ICメーカー、製造開発受託企業、ナビゲーションなどのソフトメーカーを調査した。また、国内で日本の携帯電話メーカーの調査を行った。これらの調査を通じ、プラットフォーム形成の様相は、目標とする市場における需要の特性、産業技術進歩の速さ(あるいは成熟度)によって規定されるらしいことがわかってきた。日本で企業間で共通のプラットフォームを作る場合には、各社に十分な差別化の余地を残すことが重視される。一方、中国ではプラットフォームを利用する企業の開発負担が軽減されてコストが削減されることが重視される。中国では、第3世代の携帯電話の独自技術規格がまさに立ち上がろうとする時期にその現場を観察することができたが、新技術の開始時においても、企業間で連携してプラットフォームを形成し、明確なコスト目標を設定して、新技術を安価に供給することを目指している。第三世代の開始時には、各メーカーが単独で開発に従事して膨大な開発費を負担した日本とは対照的である。 こうした違いが生じるのは、日本では製品差別化が競争上重要性を持つような需要構造であるのに対して、中国では低価格が重要である。新技術の場合にも、その技術が低価格で提供できないと技術規格そのものが失敗する危険さえはらんである。 プラットフォーム形成のパターンが需要によって規定されるという仮説をより一般化できるような調査・分析を今後進める必要がある。
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Research Products
(4 results)