2008 Fiscal Year Annual Research Report
産業におけるプラットフォーム形成の国際比較研究-日中の携帯電話端末産業を中心に
Project/Area Number |
19530199
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丸川 知雄 The University of Tokyo, 社会科学研究科, 教授 (40334263)
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Keywords | プラットフォーム / 携帯電話 / 中国 / 日本 |
Research Abstract |
我々はこれまでの中国の携帯電話端末産業の研究を通じて、多くの端末メーカーが共通の「プラットフォーム」を利用して端末を開発する状況が広まっていることに気づいた。目本でも、ドコモなど同じ通信事業者に端末を納入している端末メーカー間で膨大な開発費を低減するために「プラットフォーム」を共通化する動きも見られた。 我々は日本と中国の携帯電話産業で進行しているプラットフォーム形成の動きの相違のなかに、両国の産業の特徴が良く現れているのではないかと考えた。日本と中国の携帯電話産業は、それぞれの産業のなかで「プラットフォーム」が果たしている役割も含めて、きわめて対称的である。目本では通信事業者のリーダーシップが強く、高級な携帯電話端末が支配的であるのに対して、中国は雑多な安い端末が広範に出回っている。本研究は、対称的な構造が存続している論理を解明し、プラットフォームが形成される論理を明らかにするとともに、目本と中国の構造が成立した経緯を、通信事業者の戦略、欧米のICメーカーの戦略、韓国・台湾の企業の果たした役割などを含めて明らかにした。 日本と中国に焦点を当てつつグローバルな携帯電話産業の形成過程に焦点を当てた学術的研究は、我々のものが世界で初めてである。携帯電話産業に関する我々の発見は、日本と中国の電子産業をはじめとするさまざまな産業の特徴を象徴しており、両国の産業の研究全般に対して有益な示唆を与えるものになった。
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Research Products
(1 results)