2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530200
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
玄田 有史 The University of Tokyo, 社会科学研究科, 教授 (90245366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 香 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (10313355)
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Keywords | 経済政策 / 社会学 / ニート / キャリア教育 / 自立支援 |
Research Abstract |
1990年代以降、急増した日本の若年無業者について、その背景を経済理論的に研究した。その具体的な方法として2007年度は、総務省統計局が1992年、1997年、2002年に実施した就業構造基本調査の個票データを特別集計した。そこでは35歳未満独身無業者を、就業活動中の求職型、就業希望を有しながら求職活動をしていない非求職型、就業希望を有しない非希望学型に区分し、後者2類型を日本における「ニート」と定義した。その結果、ニートは年長無業、女性、低学歴など就業した場合の期待収益率が低い場合になりやすいことを発見した。 また同居する世帯の総収入が高い無業者ほど、非希望学型になりやすい所得効果も発見した。ただし非希望型の所得効果は、趨勢的に低下し、低所得世帯から非希望学型になる場合が増加しつつあることも見出した。なかでも低学歴、低年齢である低所得世帯の無業者ほど、就業希望を失う傾向が強まりつつあり、若年無業の増大の背景には世帯の貧困問題の広がりがあることを見出した。 また無業から移行した場合に多くが就業機会を得る事になる若年の非正規雇用の現状についても試行的分析を始めた。その結果、非正規雇用は低賃金・不安定雇用が強調されることも多いが、実際には労働力不足、雇用形態の多様化などを受け、長期雇用や年功的な処遇を得ている非正規雇用者も増えつつあることを見出した。 さらに若年の自立支援政策として、学校における職業教育の経済効果についても独自に実施したアンケートから実証分析した。その結果、職業教育は直接的な所得増大効果は発見されないものの、正社員就業率を高める他、就業の内的充足傾向を高める傾向があることを発見した。
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