2007 Fiscal Year Annual Research Report
環境保全的農業への展望:熱帯林地域の農業の集約化と技術革新の計量分析
Project/Area Number |
19530204
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大槻 恒裕 Osaka University, 大学院・国際公共政策研究科, 准教授 (40397633)
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Keywords | 農業と環境 / 農業の集約化 / 価格政策 / 経済発展 |
Research Abstract |
初年度に当たる今年度は、テーマである熱帯林地域での環境保全型農業への移行を促進する要因の特定をケニアの農村家計データにより行った。19年度前半には先行研究のサーベイとデータ収集を行い、後半には分析を進めた。まだ、論文は初稿ではあるが、一定の実証結果を得た。ケニアの農村の所得は極めて低く、持続的農業により生活水準の向上を図ることができると考えられる。とりわけこの研究ではアグロフォレストリーに着目した。結果より、人的資本の役割、指摘所有権、市場へのアクセスはアグロフォレストリーの採用に影響を及ぼすことが示された。一般化には慎重を期するべきであるが、農業生産者の土地の私的所有権を権利証明書などを政府が発行することにより強化することにより、将来の収益が保証され、長期的な土地にタイする投資を促進することを通じて生産性と持続性を高めることができると考えられる。また、教育とくに職業教育を強化することも環境保全型農業への移行を促進すると考えられる。市場アクセスのうちでも特に要素市場、例えば、肥料、苗木、種子等の市場へのアクセスがアグロフォレストリー実施に正の効果をもつことが分かった。これらの発見は環境と経済発展の両立を目指す政府にとって重要な意味合いを持つと言える。また、これらミクロ的アプローチと並行して、価格政策等がアジア地域の地域統合及び経済発展に及ぼす影響もマクロデータを用いた実証研究により示すことができた。
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