2008 Fiscal Year Annual Research Report
環境保全的農業への展望:熱帯林地域の農業の集約化と技術革新の計量分析
Project/Area Number |
19530204
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大槻 恒裕 Osaka University, 大学院・国際公共政策研究科, 准教授 (40397633)
|
Keywords | 農業と環境 / 農業の集約化 / 価格政策 / 経済発展 |
Research Abstract |
2年度目に当たる今年度は、昨年度に整理を行ったブラジルアマゾンの群レベルデータにDEA(包絡分析法)を応用し、環境保護的あるいは労働・土地節約的な技術変化を各生産物(単年性作物、多年性作物、畜産物)別に1975-1995年の期間に対して推計した。結果はコメ、豆、トウモロコシなど単年性作物については技術の改善が見られたが、多年性作物であるバナナについては生産性の後退が見られた、牧畜については1985年が最も高い生産性を示した。全体としては1985年の技術水準が最も低く1995年が最も高いことが分かった。当地域でのヒックス非中立的及び非単調な技術変化がこのように観察され、さらに長い時系列データによる長期的な技術進歩の分析の必要性が明らかになった。ケニアの家計データを用いた持続的農業の採択の分析においては、環境保全型農業への移行を促進する要因の分析をさらに発展させた。論文の完成に向けてさらに現状に照らし合わせて分析結果を検証する予定である。結果から、教育とくに職業教育を強化することも環境保全型農業への移行を促進し、とりわけ要素市場例えば、肥料、苗木、種子等の市場へのアクセスがアグロフォレストリー実施に正の効果をもつことが分かった。また、貿易における技術的基準の多国間分析では、17開発途上国の農業・非農業のミクロ企業分析により、輸出に対する技術的基準が輸出の障害になるケースや促進するケースを統計的及び体系的に分析し、学術雑誌に掲載されるに至った。
|