2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530205
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
出井 文男 Kobe University, 経営学研究科, 教授 (90093541)
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Keywords | ダンピング / 需要シフト |
Research Abstract |
本研究の目的は国内製品から輸入品への大規模な需要シフトが起こる状況では需要シフトダンピングと呼ぶことのできるダンピングが引き起こされることを示すことにある。 当初の予定では、平成20年度において外国企業の本国での市場構造を考察することが目的であったので、寡占市場をまず考えた。寡占市場ではクルノー競争あるいはバートラン競争が行われるとするのが単純な分析方法である。それぞれを試してみたが、良い結果は得られなかった。そのため、以前に別の課題で共同研究を行ったことのある京都大学教授矢野誠氏に助言をお願いした。彼の助言により、外国企業は本国において一定の価格と利潤が保証された企業であるとして分析することにした。そうすることにより、企業の利潤最大化行動により、自国市場輸出からの利益が非常に小さくてもよいと輸出企業が考えることを示すことができ、製品が安売りされることを明らかにできた。この結果は矢野誠氏との共同論文の形でまとめられた。今後、この結果をどのように拡張できるかを検討するつもりである。 平成19年度において明らかにしたように、外国企業の直面する需要曲線は椅子の形をしている。外国製品が自国市場に新規に導入されるとき、自国市場には既存の自国製品が販売されており、自国の消費者は外国製品の価格が十分に低くなると、すべての需要を自国製品から外国製品に切り替えることが起こる。このことは外国企業の直面する需要曲線が椅子の形をしていることを意味する。これに基づき、外国企業にとって輸出することがどのような状況で得策になるのかを再検討するつもりである。外国企業の本国での市場構造は単純なものに戻すことになろう。
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