2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530219
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
大沢 真知子 Japan Women's University, 人間社会学部, 教授 (90223792)
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Keywords | 経済政策 |
Research Abstract |
経済のグローバル化にともなう非正規労働者の増加がどのようなインパクトを社会にもたらしているのかについて、日本と韓国それぞれについてヒアリングをおこなった。韓国では、政権の交代にともない、非正規労働者に関する法制度の改正が議論されていた。そして、非正規労働者の雇用の安定化のための施策が検討されている。また、リーマンショック以降の韓国の非正規労働者の増加と貧困層の増大に対して、政労使の話あいがもたれ、ワークシェアリングが実施されている。また、韓国の学生と市民団体や労働組合が協力して、非正規労働者の労働条件の向上をめざしていた。 他方、韓国に比べて日本においては、非正規労働者に対する「自己責任論」が強く、派遣労働者などの非正規労働者の生活を支援するための社会的連帯が形成されにくい傾向があった。ところが、年越し派遣村がマスメディアをつうじて報道されることによって、非正規労働者のおかれている厳しい現状があきらかになった。それを契機に、補正予算が組まれ、さまざまな支援策が実施されている。 非正規労働問題に対する社会の見方が大きく変化したという意味で、2008年は歴史的な年であるといえる。本研究では、労働組合や、年越し派遣村の実行委員や交渉にあたった厚生労働省の役人などのヒアリングをおこない、政策転換の背後にどのような議論があったのかの聞き取り調査をおこなった。 最終年度は、日韓の非正規労働者の実態をデータによって比較し、その増加の程度や要因さらには、その社会的影響についてのデータ分析をおこなう予定である。
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