2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530224
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
野坂 博南 Kansai University, 経済学部, 准教授 (90425059)
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Keywords | 労働経済 / 雇用 / 結婚市場 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度よりの論文の改善に加え、出産と密接に関連する結婚の市場が、教育や技能取得とどのように関連して雇用・賃金に影響を与えるかを中心に研究を行った。まず、「統計的差別、結婚市場と男女の雇用、賃金格差」(関西大学『経済論集』に掲載)では、高度な技能を要する仕事の機会の拡大は、女性のそうした雇用の拡大や賃金差別の縮小に寄与するが、結婚市場が存在するために、こうした効果が加速されるという結論を導き、女性の大幅な高学歴化と社会進出が加速する一つの要因を指摘した。また、「Timing and Number of Marriages in Competitive Marriage Models」(日本経済学会秋季大会及びAnnual Congress of European Economic Associationで報告)では、女性の賃金差別の改善に伴い結婚のタイミングや未婚者の数がどのように変化するかを考察した。具体的には、比較的晩婚である高い教育年数の女性の賃金が改善すると、彼女たちが結婚市場でより魅力的になるため、男性も晩婚化し、学歴にかかわらず男女とも晩婚化する。また、教育年数の低い層で未婚化が促進されるという定型的事実と整合的な結論をモデルから得た。最後に、「マッチング市場における多種類の技能の取得について」(関西大学『経済論集』に掲載)では、企業と労働者が雇用関係を結ぶ前に複数の技能を取得するマッチングの問題を考察し、特定の効用関数のもとではこうした複雑な技能取得問題も簡単に解が導出できることを示し、均衡の効率性について論じた。
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