2007 Fiscal Year Annual Research Report
自然利子率の計測とそのマクロ政策含意に関する比較実証研究
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19530239
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宮尾 龍蔵 Kobe University, 経済経営研究所, 教授 (40229802)
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Keywords | 自然利子率 / マクロ経済政策 / 時系列分析 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、日本の自然利子率の計測とそのマクロ政策含意について、包括的な比較実証研究を行うことである。宮尾の専門分野であるマクロ経済学の知見と計量経済学・時系列分析の知識を最大限に活用し、より妥当な計測アプローチとその推計結果を導出することを目指す。 本年度は、既存研究のサーベイを詳細に行い、それぞれの特徴や問題点を整理することに主眼をおいた。まず自然利子率の概念について理論的側面から文献サーベイを行った。自然利子率に関しては様々な用語が使われており、自然利子率、実質均衡利子率および中立実質利子率の関係、自然産出量と自然利子率、長期自然利子率と短期自然利子率の関係などについて概念整理を行った。次に理論研究面では、最適成長理論をベースにした議論と、近年のWoodfordらを中心としたニューケインジアンモデルに基づく議論についてサーベイを行った。その結果、特に後者のニューケインジアンモデルについては資本ストックが明示的に考慮されておらず、現実への応用を考える上で課題が残されていることが判明した。以上の理論サーベイとともに、日本に関する実証研究について、EconLit等の文献検索を活用して先行研究がどこまで分析を進めているかについても調べた。サーベイの結果、日本に関する実証研究はまだ限られており、自然利子率推計値に関しても、まだ確定した結果が得られていないことが明らかとなった。 これらの成果を踏まえ、来年度は理論面、実証面のサーベイを継続すると共に、検証に必要なデータ整備を行い、日本に関する実証分析へと進む予定である。
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