2008 Fiscal Year Annual Research Report
世界経済の構造変化と国際的相互作用に関する実証研究
Project/Area Number |
19530240
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
市橋 勝 Hiroshima University, 大学院・国際協力研究科, 准教授 (10223108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 知彦 大阪府立大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30258321)
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Keywords | 構造変化検定 / アジア連関表 / エネルギー需要関数 / 企業ガバナンス |
Research Abstract |
本年度は基本的に以下の3点の作業を行い、それぞれの進捗状況に応じて相応の成果が見られた。第一に、時系列分析の領域で活用されている構造変化検定の方法を、日本及び世界のマクロデータの長期系列に試すことで、その脆弱性や問題点を考え、新たな検定方法や構造変化の規模を比較することを試みた。時系列データの2σ範囲の変動幅を臨界値に用いることが、結果的に最も簡易で経験的にも直観に合致する構造変化検定の方法であるとの観測を得た。逆に言えば、従来の時系列分析の検定方法において、検出力の弱さが改めて示される結果となった点は重要である。第二に、多部門の産業間にわたる世界経済の相互依存性を分析する目的から、アジア連関表を用いた原油価格の上昇ショックの波及効果を、主に日本と韓国に焦点を当てて分析した。結果として、供給側では原油価格の変動に極めて敏感な韓国経済と相対的に安定的な日本経済という結果となったが、他方、需要構造の分析では電気価格に相対的に敏感な日本の電力需要関数の影響で、最終的なGDPに対する落ち込みは同程度になるという興味深い実証結果を得た。第三に、日本経済のミクロ・パート分析として、企業のガバナンス分析を行い、経済構造の固有性分析を行った。それによれば、日本企業のガバナンスの特徴として、オーナー型企業の意思決定は、内部昇進型や銀行依存型の企業に比べて迅速であり、且つ、生産性やROEへも有意な正の効果があるという結果を得た。これは先行する企業パフォーマンス研究の結果を支持するものであった。なお、本年度、経済依存性の国際比較に関しては、データの整備を進めて環境問題の分析にまで研究を拡張する予定であったが、作業進行が大幅に遅れたため、次年度まで引き続き作業を行う予定である。
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