2008 Fiscal Year Annual Research Report
日韓FTA交渉における農業問題に関する研究-グローバル化の環境・地域への影響-
Project/Area Number |
19530243
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
深川 博史 Kyushu University, 経済学研究院, 教授 (30199153)
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Keywords | FTA / 韓国 / 農業 |
Research Abstract |
日韓FTA交渉は、第2年度の研究期間中においても大きな進展が無く、依然として交渉は遅延している。その間に本研究では、FTAの動向を注視しながら資料を収集するとともに、「農業問題」に関わる政策案件について分析を進めた。また、FTA交渉打開策にも関わって、本プロジェクトの課題の一つである「地域」に焦点を当てた研究を進め、その一部を学会で発表した。 「農業問題」については、韓国の農業問題が、国内だけではもはや完結せずに、グローバル化している点に着目し、国内コメ生産の需給動向が、対北コメ支援に依存する構造を形成しつつあることを明らかにした。日韓FTA交渉においても、両国の主要生産物である、コメの需給動向は、政策決定に関わる大きな要因となる。そのコメ生産にかかわる需給動向について、韓国独自の問題としての、需給調整の海外依存構造を明らかにできたことは、プロジェクト第2年目の成果と言える。 もう一つは、日韓FTA交渉が遅延するなかで、日韓の地域連携が進みつつある点を明らかにした点である。FTAは両国の経済連携に関連して規制緩和を行うものであるが、一国レベルの規制緩和に先んじて、すでに、地域レベルでの規制緩和論議が始まり、地域FTAという言葉も生まれている。本研究プロジェクトでは、特に、日本の北部九州地域の福岡と韓国南部地域の釜山の地域間連携や都市間連携に着目して、両地域・両都市間の、独自の規制緩和政策に関わる動向や構想を明らかにした。この「国境越える地域連携」(代表者が命名)について、最新の動向を学会で報告するとともに、東大・早稲田大などの研究者とともに討論を行い、多くの研究成果を得た。
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