2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530245
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
脇田 成 Tokyo Metropolitan University, 都市教養学部, 教授 (60242046)
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Keywords | バブル / 失われた10年 / 財産所得 / TFP |
Research Abstract |
本研究ではバブル崩壊と失われた10年を、家計の所得不足、といった側面から考察している。今年度は、大きくけて2つのことを行った。 第1に著書『日本経済のパースぺクティブ』でまず大体の見通しを述べた。なかでもトレンドとサイクルの区別から、トレンドの中期的な屈折を重視する必要性を述べた。80年代と90年代以降では大きく成長率が屈折しているが、それはサイクルの様相にも現れている。 ・80年代以前の安定成長期はいわゆるGrowth Recession、つまり成長が足踏みする時期が不況だが、 ・90年代はちょうど成長の頭を押さえられ、成長率が低下した形となっている。 言い換えると、景気上昇の初速はそれほど変わらないが、後退期には失速しマイナス成長の程度が大きく速い。この点からよりトレンドに依存する割合の大きい家計消費の役割が大きいことが予想される。同書は日本経済について網羅的に記述したものだが、そのなかで「失われた10年」のさまざまな仮説の比較検討を行った。 第2に金融政策の無効性である。「失われた10年」では金融政策の失敗が指摘されることが多い。しかしながらレジームスイッチングVARで検証すると、以下のようなレジームに分かれ [1]バブル以前の85年頃までの安定成長レジーム [2]90年代の好況レジーム(バブル期と90年代央までの一応の好況期)と [3]90年代の不況レジーム(バブルピークアウト後の崩壊期・金融危機期)に [4]ゼロ金利政策(1999年)以降の2000年代の量的緩和レジーム 最終レジームにおいて量的緩和等いわゆる新しい金融政策は実物経済に影響を与えていないことが分かった。
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Research Products
(4 results)