2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530245
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
脇田 成 Tokyo Metropolitan University, 社会科学研究科, 教授 (60242046)
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Keywords | バブル / 失われた10年 / 財産所得 / TFP / 非正規雇用 |
Research Abstract |
本研究ではバブル崩壊と失われた10年を、家計の所得不足、といった側面から考察している。今年度は、大きく分けて2つのことを行った。 第1に著書『日本経済のパースペクティブ』でまず大体の見通しを述べた。なかでもトレンドとサイクルの区別から、トレンドの中期的な屈折を重視する必要性を述べた。80年代と90年代以降では大きく成長率が屈折しているが、それはサイクルの様相にも現れている。 ・ 80年代以前の安定成長期はいわゆるGrowth Recession、つまり成長が足踏みする時期が不況だが、 ・ 90年代はちょうど成長の頭を押さえられ、成長率が低下した形となっている。 言い換えると、景気上昇の初速はそれほど変わらないが、後退期には失速しマイナス成長の程度が大きく速い。この点からよりトレンドに依存する割合の大きい家計消費の役割が大きいことが予想される。同書は日本経済について網羅的に記述したもの,だが、そのなかで「失われた10年」のさまざまな仮説の比較検討を行った。 第2に非正規雇用と賃金の関係である。非正規雇用増加は家計所得減少をもたらすが、この問題は [A]高齢化に伴う嘱託等の増加や、[B]女性の社会進出による就業率の増大 が量的には大きい。しかし派遣村の96%が男性であったように、報道では [C]壮年から中年の男性の急増、が大きく注目を浴びている状況になる。また[D]若者については就職氷河期の問題があり[E]女性の若年層も大きな問題である。 家計補助的なパートタイマーばかりでなく、未婚の団塊ジュニア層が増加しているからである。以上の5つのグループにはそれぞれ重要な根深い問題が存在している。これをひとまとめにして、解決することは、元から無理な話であり、なかでも「切羽詰まったグループ」と主婦パートなど税金等の関係で「労働時間調整グループ」との混在はやっかいな問題なのであることが理解された。
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Research Products
(7 results)